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ライター大曲智子のお仕事とときどきフリートーク。ご相談やご連絡、記事のご感想などは→detroit_8000@hotmail.com

新書『ガルパンの秘密』発売中です

廣済堂出版より新書『ガルパンの秘密 ~美少女戦車アニメのファンはなぜ大洗に集うのか~』が発売されました。
ガルパン取材班として、取材・執筆の一部を担当しています。
以下長くなりますが、私から見たこの本のプロジェクトの感想を書きたいと思います。

↓『ガルパン』という言葉を初めて聞く人はこちら
http://girls-und-panzer.jp/intro.html

原作がない完全オリジナルアニメのため、放送前のアニメファンからの期待値が低かった『ガールズ&パンツァー』、通称『ガルパン』。
しかし放送が進むにつれて評判を呼び、作品の舞台となった茨城県大洗町で放送期間中に行われたお祭り「あんこう祭り」では、来客数6万人を記録。ちなみに翌年はなんと10万人です。
アニメの放送が終わっても火が消えることはなく、さらにOVA化、ゲーム化。イベントのたびに大盛況。ついには劇場版の制作も進行中です。

誰もが驚いたこのムーブメントは、なぜ生まれたのか。
プロデューサー、監督、脚本家といった制作スタッフへのインタビュー「美少女戦車アニメを創作した人々」編
そして、ロケハンなど制作へのサポートを行った地元大洗の人たち、盛り上がりに後押しをした自衛隊(!)やAmazonTSUTAYAバイヤーへのインタビューガルパンの炎をさらに大きくした人々」編
大きく分けて2編から成るインタビュー集がこの本です(水島努監督のみスケジュールの都合でBD特典の再編集となっています)。

本書の中で私は、後編の「ガルパンの炎をさらに大きくした人たち」を中心に、5人の方にインタビューをさせていただきました。
●主人公西住みほ役に大抜擢され、人気声優の仲間入りをした渕上舞さん
ガルパンへの大洗町の協力体制を指示した地元の立役者、常盤良彦さん
ガルパンで商店街に活気を取り戻そうとした、割烹旅館肴屋本店の大里明さん
●大洗を盛り上げたいと願った大型ホテルの従業員、大洗ホテルの島根隆幸さん
ガルパン楽曲をイベントで演奏した、大洗高校マーチングバンド部(BLUE-HAWKS)監督の有國浄光先生

ガルパンの秘密』取材班は、アニメ評論家の藤津亮太さんをリーダーに、アニメライターの石井誠さん、同じくアニメライターの日詰明嘉さん、そして私の4名で分担して取材を行いました。インタビュー対象の分担指示は、藤津さんによるものです。
アニメ取材の猛者に加え、アニメ取材経験の少ない私になぜ声をかけていただいたのか。誰もが不思議だっただろうし、私自身も驚きました。
藤津さんは、アニメ専門でない人に大洗の方たちを取材してほしいという意図があったようです。大洗の方たちも、ガルパンが来るまではアニメ自体になじみがなかった方たちですから。
チームに女性が入ることの効果も期待してくれたのかもしれません。結果、渕上さんとは雑談も楽しみながらの、本音の会話になりました。
有國先生への取材が決まった後で、私にブラバン経験があることを知った藤津さん、偶然に驚いていたなぁ。

ライターという職業は普段、ほかのライターの仕事の仕方を知る機会はあまりありません。
だから4人でチームを組んで切磋琢磨しながら取材執筆ができること、私は純粋に楽しんでいました。
アニメの制作体制に詳しい日詰さん、メカニックやミリタリーに強くてしかも水戸出身の石井さん、アニメの歴史の中で『ガルパン』を捉えることができるスペシャリストの藤津さん。(少なくとも私以外は)なんて完璧な布陣!
ガルパン取材陣のチームワークも、実は自慢できるレベルなんですよ。
取材が始まる前、大洗のリサーチがてら、みんなで10月のあんこう祭りにも行きました。
お客さんたちの熱を感じながら商店街を歩き、人であふれるイベント会場であんこう鍋を食べ、廣済堂出版のブースに買いに来てくださるお客さんを視察。
帰り道に日詰さんと石井さんに挟まれながら「カトキ立ち」を教えていただいたのもいい思い出です。

ちなみに、特に大洗の方たちへのインタビューの中で『ガルパン』以外のことも聞いているのは、編集としてこの本の進行をとりまとめた、武田賴政さんの考えによるものです。『ガルパン』に触れた部分だけではなく、その人の人間性も見せたいという意見でした。大正解だったと思います。
インタビューには杉山プロデューサーもなるべく同席してくださり、話しやすい雰囲気を作ってくれました。

お忙しい中で取材に応じてくれたインタビュイーの皆さま、渕上さんの正直な胸の内を発表することに理解を示してくださった、インクストゥエンターのマネージャーさんにも心よりお礼を申し上げます。

私はこれまでもこれからも『ガルパン』ファンのひとりです。
みんなが笑顔になる『ガルパン』のようなアニメがもっと生まれるよう、なにか力になれたら嬉しいです。

アニメ『ガールズ&パンツァー』公式サイト
http://girls-und-panzer.jp/